『日本文学の旅』元ネタの旅
橋本良亮さん(A.B.C-Z)・新納慎也さんが立たれている朗読劇『日本文学の旅』、劇中で紹介されている元ネタをわかる範囲で並べました。当方の不勉強で欠けている部分がございましたらぜひご指摘いただけると助かります。
舞台そのものは、知識がなくても意味より音を重視する作品だなと思っていますので、中身より「聞く」ことを意識されるほうがいいんじゃないかと。個人的に上古も近代も詩歌の知識がめちゃくちゃ弱かったのでそのメモです。
盛大なネタバレになると思いますので、ご自身の責任でご覧ください。
・古事記冒頭
(武田祐吉『新訂古事記』角川文庫、鈴木三重吉『古事記物語』角川学芸文庫)
・源氏物語
(森鴎外序文「新訳源氏物語」序(鴎外全集38巻岩波書店)、若紫与謝野訳)
・百人一首
来ぬ人をまつほの浦の夕凪に訳や藻塩の夏のしるしなりける(従二位家隆)
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣では露に濡れつつ(天智天皇)
天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも(安倍仲麻呂朝臣)
花の色は移りにけりないたづらに吾身世にふるながめせしまに(小野小町)
夜をこめて鳥の空音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ(清少納言)
千早ぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは(在原業平)
瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末に逢わむとぞ思ふ(崇徳院)
百敷や古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり(順徳院)
これやこの往くも帰るも別れても知るも知らぬも逢坂の関(蝉丸)
忍ぶれど色に出にけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで(平兼盛)
・方丈記(ゆく河の流れ…、人のいとなみ皆愚かなる中に…)
・徒然草(序段つれづれなるままに…、第七段あだし野の露…)
※この2作は全部抜き出せていない気がしないでもないです
・風姿花伝(三十四・五、四十四・五、五十有余、秘する花)
・曽根崎心中(道行)、ロミジュリ(冒頭)・夏の夜の夢(末尾、坪内逍遥訳)
芭蕉(*は「おくのほそ道」以外)
(冒頭)月日は百代の過客にして…
草の戸も住み替はる代ぞ雛の家
夏草や兵どもが夢の跡
閑かさや岩にしみ入る蝉の声
荒海や佐渡に横たふ天の河
この道や行く人なしに秋の暮*
古池や蛙飛び込む水の音*
五月雨をあつめて早し最上川
山路来て何やらゆかしすみれ草*
行く春や鳥啼き魚の目は涙
秋深き隣は何をする人ぞ*
この道を…?(※メモではここに一句あるのですが上記頭句と被っているので後日確認します)
いざさらば雪見にころぶ所まで*(※これもちょっと自信がない)
旅に病んで夢は枯野をかけめぐる*
雀の子そこのけそこのけ御馬が通る
やれ打つな蠅が手をすり足をする
痩蛙まけるな一茶是に有り
蝉鳴くや我家も石に成るやうに
蝉鳴くや天にひつつく筑摩川(※頭句しかメモしてなかったのですが「せみなくや」が2作有ったので…多分上です)
・夏目漱石「私の個人主義」「正岡子規」、正岡子規(柿食えば…)
・与謝野晶子「みだれ髪」
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
たまくらに鬢のひとすぢきれし音を小琴と聞きし春の世の夢
ゆあみして泉を出でしわがはだにふるるはつらき人の世のきぬ
いとせめてもゆるがままにもえしめよ暫斯くぞ覚ゆる暮れて行く春
きのふをば千とせの前の世とも思ひ御手なほ肩に有りとも思ふ
その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな
・太宰治「斜陽」冒頭「桜桃」文中
後半日程追加文学作品
・江戸川乱歩「D坂の殺人事件」
・国木田独歩「武蔵野」